取得費が不明でも取得費控除できる3つの方法

取得費が不明でも取得費控除できる3つの方法

 

家・マンション・土地など不動産を取得した当時の契約書や領収書がないなど取得費不明の場合でも、譲渡所得の計算で取得費を控除できます。

 

取得費不明の場合に、取得費を計算するには、次の3つの方法があります。

 

取得費が分からない場合の「3つの取得費控除法」

  1. 概算取得費控除を適用する方法
  2. 間接的に証明できる書類から取得費を計算する方法
  3. 統計数値から取得費を計算する方法

 

不動産売却にかかる税金(譲渡所得税)を安くするには、取得費をどれだけ高く算定できるか、がポイントです。

 

売却した不動産の取得費が不明のとき、取得費を計算して控除する3つの方法について、詳しく見ていきましょう。

 

概算取得費控除を適用する方法

取得費不明の場合は、概算取得費控除を利用するのが一般的です。概算取得費控除とは、「売却金額の一律 5%」を取得費と見なして控除する方法です。

 

「売却金額の5%を取得費と見なす」ことが、メリットになることもあれば、デメリットになることもあるので、概算取得費控除を適用するときには注意が必要です。

 

概算取得費控除のメリット・デメリット、概算取得費控除を利用すると有利なケース・不利なケースについて、見ておきましょう。

 

概算取得費控除は、実際の取得費が分かる場合でも使えます。実額取得費と概算取得費の有利な方(金額の大きい方)を取得費として控除できる仕組みです。

 

概算取得費控除のメリット・デメリット

概算取得費控除のメリットは、実際の取得費がいくらだったかに関係なく、売却価格をもとに取得費を計算して控除できることです。

 

ただし、「売却金額の一律5%を取得費と見なす」ということは、裏を返せば「わずか5%しか控除できない」ということです。売却金額の95%が譲渡所得となるため、税金が高くなります。これが、概算取得費控除のデメリットです。

 

概算取得費控除が有利なケースと不利なケース

契約書や領収書から実際の取得費が分かる場合は、概算取得費と実額取得費を比較して、金額の大きい方を取得費として用いれば有利になるなのは明らかです。

 

問題は、取得費が不明の場合です。概算取得費控除を適用するとが有利なケース・不利なケースについて、代表的な例を挙げておきます。

 

 

概算取得費控除が有利なケースとは?

実額の取得費控除でなく、概算取得費控除が有利なケースとは、先祖代々の土地・家屋を売却したような場合です。

 

昔の不動産価格は、今と比べると非常に安いので、たとえ5%であっても今の価格を基準に計算する概算取得費の方が、実額取得費より高くなることがあります。

 

 

概算取得費控除が不利なケースとは?

バブルのころに高値で購入した不動産を売ったら、明らかに売却損となります。こういう場合は、概算取得費控除では不利です。

 

実額で取得費控除ができれば売却損で税金がかからないのに、概算取得費控除だと売却益が生じて税金が発生してしまいます。

 

取得費が不明な場合に、概算取得費を用いず取得費を計算するには、次のような2つの方法があります。

 

  • 間接的に証明できる書類を用いて取得費を計算する方法
  • 統計数値を用いて取得費を推計する方法

 

概算取得費控除では税金が高くなって損をするような場合は、これらの方法を検討してみるとよいでしょう。

 

間接的に証明できる書類から取得費を計算する方法

契約書や領収書など直接的に取得費を証明する書類がなくても、間接的にでも取得金額を証明できる書類があれば、それを用いて計算することもできます。その書類を確定申告の際に添付して提出すれば、証明書類となります。

 

例えば、こんな書類です。

 

  • 購入代金の支払いが分かる通帳
  • 住宅ローンの契約書や償還表、返済の通帳
  • 購入当時の価格が記載されているパンフレットなど

 

こういった証明書類もない場合、概算取得費を使わず取得費を計算するには、次の方法があります。

統計数値から取得費を計算する方法

直接的にも間接的にも取得金額を証明できる書類が何もない場合は、統計上の数値を用いて取得費を計算する方法があります。

 

例えば、市街地価格指数を用いる方法です。現在の価格指数と取得時の価格指数および売却金額(現在の市場価格)から、取得した当時の市場価格(取得費)を計算することができます。

 

これは、税務署も国税不服審判所も「合理的」と認めている方法です。

 

まとめ

契約書を紛失してしまったなどで取得費不明の場合でも、譲渡所得の計算で取得費控除はできます。次の3つの方法があります。

 

  1. 概算取得費(売却価額の一律5%)を控除する方法
  2. 間接的に証明できる書類を用いて計算する方法
  3. 建築物単価や市街地価格指数など統計データを用いて計算する方法

 

どの方法を用いると取得費を大きく算定できるか、つまり節税効果が大きいかは、個別に判断する必要があります。譲渡所得税の計算方法はこちらをご覧ください。

 

なお、マイホームの売却には、3,000万円の特別控除の特例があります。自宅を売却して、売却金額が3,000万円より低い場合は、特別控除の特例を適用するだけで税金はかかりませんから、取得費を気にすることはありません。